b1-hks-01

 

 全く情けないったらありゃしない。

 人がちょっと不機嫌になったらオロオロしちゃってさ。

 分かってるくせに、何で誘うかな~。
 

 デートを途中ですっぽかした帰り道。

 何故だか、足はここへ向かってしまった。

 

 

 

 

 


Power Balance

 

 

 

 

 


 
 
 ブチブチとシンジに文句を言ってたら、何て言ったと思う?

「そりゃあねぇ・・・・・・」

 苦笑いを浮かべて歯切れの悪いったらありゃしない。

「あん?」

 少しだけ眉を跳ね上げた。

 さっきの男はこれで・・・・・つーか、これだけでうろたえた。

「普通、そうなるよ。」

 って、どーゆー意味!?

「・・・・・・・そうなるよ。」

 ため息混じりに同じ言葉を繰り返す。その目は、意味ありげ。

 あぁ、そうね。そうよね。そうですよね。

 ったく!コイツなら動じやしないのに。(あ、渚もジャージもそうか。)

「美しいって罪よね。」

 シンジの言いたい事を理解しつつはぐらかす。

 なんつーか、要は面倒臭いんだ。アタシが。

 自分が間違って無いなら、アタシが不機嫌になろうが何だろうが、言った事を撤回しないで欲しいんだ。撤回するなら最初から言わないで欲しいんだ。

 最初から最後までそうしろよ!と思う訳だ。

 中途半端な自己主張が一番腹が立つ。

 

 でも、付き合う男は毎回、アタシの機嫌をとる事しか考えていない。
 


 

 例えば、渚なら、最初から最後まで一貫してエスコートする。

 自分が実現可能な選択肢を予め幾つか用意して、さりげなくその選択肢の中から選ばされる。不自然じゃなく、ごく、自然に。

 相手が楽しんでいる事を楽しんでいる様な・・・・・そんな感じ。

 

 

 例えば、鈴原だと、自分が楽しむ。とにかく楽しむ。

 それが腹立たしくて、口喧嘩から始まって取っ組み合いの喧嘩にまで発展したこともある。

 それでも、その姿勢は崩さずに、とにかく自分が楽しむ。

 最近じゃ、『楽しそうでイイや~ね~』と少しだけヒカリの気持ちが分かってきた気がする。(オトナだなアタシって)


 

 例えば、これがシンジだと・・・・・・・煙に巻かれる気がする。

 にっこりと人の良さそうな笑顔で毒を吐いてきたり、さらっと優しい事を言ったり、さっきみたいにはぐらかしたり。態度が一貫しない。

 でも・・・・・・ちゃんとアタシの事考えてくれてるし、上っ面なお世辞も言わないから信用は出来る。(この辺の事だと、意外にも信用出来ないのが渚だったりする。)

 


 つか、何でアタシに彼氏が出来ないのよ!!

 

 どっかに、いい男、転がっていないかな~。

 

 本当にそう思うわ。

 

 

 

2010.09.13

拍手文再録