s-1

 

あの瞬間、僕が願ったのは

 

 

 


家族と平和に暮らしたい

 

 

 

だった。

 

 

 

 

 

 


evangelion  after EOE     Dream

夢の始まり

 

 

 

 

 

 


目が覚めたのは、病院のベッドの上だった。

 

ガバっと起き上がると、心配そうな父さんと綾波、そしてリツコさんが視界に入った。

・・・・・・・・びっくりした。

そんな僕に父さんは

「頑張ったな、シンジ。」

それだけ言うと、部屋を出て行った。

「????」

何だか、よく解らないけど、父さんに褒められた嬉しさと、心の片隅にある幸せな気持ち。

これは何だろう?

う~~~ん。。。。。。。

 

「シンジ君、気分はどう?」

そう聞いてきたリツコさんの表情がやけに晴れやかで・・・・・・

「悪くないです。

 ・・・・・・と言うより、いいかもしれないです。」

と、笑顔で答えてしまった。

「そう、それはよかったわ。」

笑顔で言われてしまった・・・・・・・

「じゃ、本題に入るわね。」

そう前置きされて、現在の状況の説明が始まった。

専門用語なんて全く解らなかったけど、“人類補完計画”が発動されたらしい。

で、人々は“補完”されたって事でいいのかな?

じゃぁ、この、心の片隅にある“幸せな気持ち”がそうって事なのかな。

でも・・・・・・でも

「アスカは・・・・・みんなは無事なんですか?」

話がひと段落付いて、疑問に思ったことを聞いてみる。

「安心して。無事よ。」

「・・・・・・・よかったぁ。」

「シンジ君のお陰なのよ。ありがとう。」

そ・・・・そんな事言われても・・・・・・

自覚無いです。はい。

「でね、シンジ君。」

「はい。」

「あなたは3日ほど眠っていたの。

 第3とネルフは軍事侵攻前の状態なのだけど、とにかく混乱が続いているわ。

 ゲンドウさんもその後処理に追われている状態なの。」

え・・・・・と、リツコさん“ゲンドウさん”って・・・・

「目が覚めたら帰っていいと言われているんだけど、あと1日、ここにいてくれないかしら?」

「はい。」

「家族で住もう、ってゲンドウさんが。」

「え?」

「私が母親じゃ、嫌かしら?」

「!!!!!!」

言葉を理解するのに、時間がかかった。

リツコさんが母親って・・・・・それって・・・・・

それって・・・・・・・・

無言で首を振った。

何だか、泣きそうなんですけど、僕。

「・・・・・・・ありがとう。」

頬を少し赤らめ、恥ずかしそうに、嬉しそうに言うリツコさん。

「・・・・・・こちらこそ、よろしくお願いします。」

ぺこりと頭を下げた。

「それからね、シンジ君。」

「はい、何でしょう?」

「家族を紹介するわ。」

って、綾波だよね。

綾波も一緒なの?

それはそれで嬉しいけど・・・・・・・困る。

そう思ってたら、違う言葉を聞いた。

「彼女はリナ。

 たぶん、一人目の綾波レイよ。」

 

「はいぃぃぃぃぃぃいいいぃ????」

 

こうして僕の新しい生活が始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

父さんもリツコさんも忙しいから、家事は分担となった。

僕の担当は、食事。

掃除が綾波で、洗濯がリツコさん。

でも、リツコさんに下着を見られるのが恥ずかしくて、自分でしてたりするんだけど。

掃除も綾波には任せ切れなくて、僕が手伝っている。

そんな感じなので、言葉だけだとミサトさんの所に居た時と変わらない様に聞こえる。

でも、違う。

こっちの家は、みんなが協力しているんだ。

出来ないなら、出来ないなりに頑張ってる。

だから、心がぽかぽかしてくる。


で、今日も朝食の準備中。

みんなの嬉しそうな顔を見ると、僕も嬉しくなるから。

「おはよう、シンジ。」

朝からリナは元気だ。

「おはよう、リナ。」

僕が返事をすると、満足そうにリナは笑う。

続いてキッチンに綾波が入ってきた。

「おはよう、綾波。」

 

僕がそう言うと、綾波がじ~~と僕を見る。

 

 

え・・・・と。。。。。

 

 

綾波さん?

 

 

僕にどうしろと?

 

 

ジーーーーーーー・・・・・・・・・

 

 

え~~~~っと、、、、、、、、

 

 

「おはよう、レイ。」

 

僕の言葉に満足そうに微笑む彼女はキレイだった。

 

「おはよう、碇君。」

 

え・・・と・・・・綾波さん?

 

それって、ズルくない?

 

だから僕は、ジーーーーと見返す。

 

 

「・・・・・・・・・・・」

 

 

ジーーーーーーー・・・・・

 

 

 

「おはよう、シンジ君。」

「おはよう、レイ。」

 

「手伝うわ、シンジ君。」

 

 

 

何だか照れくさいけど、楽しい・・・・・かも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

2010.04.18